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会員の活動紹介

塩尻市片丘産のワインを造っています

幸西 義治さん

2023年4月20日、北アルプスの雄大な姿を眺望できる塩尻市片丘、「丘の上 幸西ワイナリー」で、オーナーの幸西義治(こうにし よしはる)さんにワイン造りについてインタビューさせていただきました。

穏やかな口調で語っていただきましたが、その裏には並々ならぬ学習の積み重ねのご苦労と、塩尻市、ワインへの熱い思いを感じることができました。

プロフィール

幸西さんは広島のご出身です。1981年、諏訪精工舎に就職し、当時の塩尻工業のB-Ⅱに出向されました。その後長らく時計やプロジェクターのソフトウエア開発に携わられ、RC-20リストコンピューターや、HC-7シリーズのハンドヘルドコンピューター、テプラなどを手掛けられてきました。

当初はソフト開発業務が多くを占めていましたが、次第に企画、製品推進の業務が主になったそうです。

塩尻工業では「自ら考え自ら動け」の精神のもと、会社を辞めるまで色々な部署の方や、色々な製品に携わり体力、精神的も大変でしたが、充実した面白い会社生活だったそうです。   

活動内容

ワイン造りのきっかけ

入社して30年ほどたったころ、「定年後は旅行で行って良かった富良野、十勝となんとなく似て、ワインの一大産地でもある塩尻の観光にご協力できないかな」と思っていた矢先、「それなら『塩尻観光ワインガイド』にチャレンジしてみたら?ただ酒を飲んでいるだけでは飲兵衛のオッサンよ。」という奥様からの言葉に背中を押され、塩尻ワイン専門の市民ボランティアである「塩尻観光ワインガイド」に応募することになりました。そこでワインについて多くを知ることになったことがワイン造りのきっかけでした。

知識の習得

「塩尻観光ワインガイド」のボランティアとして塩尻ワインのPR、イベント手伝いなどをしながらブドウ栽培からワイン醸造に至るまでの専門知識を体系的に学習されました。

ご自身のワイナリーを具体的に考え始めたのは、「塩尻観光ワインガイド」の活動をしていてもう少しワインの事を知りたいと受講をした「ワイン生産アカデミー」(注1)、「塩尻ワイン大学」(注2)で、ワインに造詣の深い方や受講生の真剣さや情熱に感化されてからだそうです。          

ブドウは植えてからしっかりした実を結ぶまで4年くらいかかります。2018年に迎える定年後にワイン醸造を始めるには2015年にはブドウを植えないと間に合わないことになります。この年、幸西さんは会社を早期退職され、ご自身のワイナリーのオープンを目指して注力されることになりました。56歳の年でした。

同年ブドウ栽培を開始し、同時期に「里親ワイナリーによる醸造技術研修」を受講されました。これは長野県内のワイナリーで醸造研修が受けられる制度で、半年ほど実地研修が受けられる制度です。幸西さんはサントリーインターナショナル塩尻ワイナリーで醸造研修を受けられました。          

(注1) 長野県が開催しているワイナリー設立支援事業のひとつ。
(注2) ワイン造りのより具体的な知識、ワイナリー経営手法などを身につけるために塩尻市が運営するもの。

「丘の上 幸西ワイナリー」のオープンまで

ブドウの育成

幸西さんは0.5ヘクタールほどの土地を借り、1000本超のブドウの木を垣根方式で植えてブドウを栽培しています。借りた土地は野良蕎麦(自生蕎麦)が生えていたような遊休農地だったそうです。

ワイン用のブドウは土地の栄養、水が多いと樹ばかりを大きくして(「暴れる」と言います)ワインに適した良いブドウができません。その為に下草を生やして(もちろん大きく育ったら刈りますし、樹の根元の周りは害虫が来ますので取ります)そちらに栄養、水を取らせ、また樹間は密植してストレスをかけて育成しています。こうすることで粒が小さく、皮が厚くてタンニンが多く野性味のあるワインに適したブドウが収穫できるのだそうです。    

育てているブドウは、   
赤ワイン用 メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン の3種。
白ワイン用 シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン の2種。  
です。

ブドウの芽について説明されている幸西さん(右)

果実酒製造販売のライセンス

塩尻市では「ワイン特区」が設定されており、そのライセンスの条件は、塩尻産ブドウを使って塩尻市内で醸造すること、2000ℓ以上/年(特区外の場合は6000ℓ以上)醸造することなどです。幸西さんはこの「ワイン特区」のライセンスを取得されています。   

国の税収の一部である酒税に関わるため、ライセンスを取得するには、品質、醸造量、販売量等を厳格にチエックされます。販売ルート、仕入れルート、技術力(3年位ワイナリーで醸造経験があるか、そういう方をコンサルタントにすることが望ましいと指導されるとのこと)、資金力などが厳しく審査されます。 例えば、販売力ではお客様が仕入れを約束した契約書などの有無(口約束などはダメ)、仕入れでは自社生産では不足した場合に他社から(もちろん塩尻市内)原料を回してもらう契約書の有無などです。細かいところでは、搾りかすの帳簿記録や廃棄した滓(おり)の申告も必要なのだそうです。

苦労していること

自然相手なのでやはりブドウの育成にはご苦労されているそうです。             

また、特に収穫は9月末から10月末にかけてブドウ種毎に天候や育成具合を見計らって一気に行うため、10~20人の人手が必要になるそうですが、収穫日は3日くらい前でないと決められないため、簡単に都合のつく方がいらっしゃらず、人手の確保が悩みの種だそうです。                           

伝えたいこと         

「とにかく遊びに来ていただければ嬉しいです。」とのことでした。

幸西ワイナリーのブドウ畑

この記事を読んで、もっとワインのことを知りたい、畑を見てみたい、ブドウの収穫をお手伝いしてみたいなどと思われた方は、「丘の上 幸西ワイナリー」のホームページから問い合わせしてみてください。 

ホームページはこちら
丘の上 幸西ワイナリー 塩尻市しののめの道にある小さなワイナリー (goope.jp)

(取材HP委員 飯田 益男、瀧澤 宏)

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